親方の独り言

 先日 先代(父親の代)から世話になった中田孝夫さんが亡くなった

つい 昨年の夏には 秋穂東天田の現場に上棟から完成まで
中田さんは 事ある毎に 又 事が無くても 立ち寄り
「お~ しんちゃん やっちょるのお ええ お城造りよるのお~」
決まり文句のように 励ますように 顔を見せてくれていた

 自分が生を受け この「建築屋」という職業に就き
生まれてきたからには やりたいと願っている事
「お寺又は神社の仕事」「秋穂88ヶ所巡りのいずれかの改装又は改築・復元」

中田さんの後押しの 御陰で「福楽寺屋根改修工事」を請け負わせて貰った

始めるまでは こんな建物の納めを自分が出来る訳がない と 思っていた

始めてからは 何時の時代であれ
その時代に生きていた職人達が精一杯の仕事をしてきただけで
同じ気持ちになれば 出来ないことはないと 教えて貰った工事だった

総代会議の時「内田工務店に この工事は任せるべきだ」と言い張ってくれた中田さんの姿
先代が亡くなってからもずっと取ってきた蛸を持ってきてくれた姿
ゲートボールで こてんぱんに痛めつけられ 得意満面の笑顔

自分もいずれ 中田さんや 先代のいる場所に行くのだけれど
自分に残そうとしてくれていた事 励ましてくれていた事
自分の生 有る限り 誰かに 返して行かなければならないと思う

「筋目のいい大人」が また一人 この世から立ち去ってしまった

残された 中田のおばちゃんの事を 思うと どうしようもない気持ちに させられる
漁に たんぼに 何時も夫唱婦随であった二人にも 別れがくる事に やるせなさを感じる

日々 空間を造る仕事をしている 住む空間を造っている
その過程は 人と会い・語らい 気持ちを行き来させる 連続でもある
人の「思い」を 形にしていく作業は 人と交じり合う作業そのものでもある

「筋目のいい大人」が また一人 この世から立ち去ってしまった

いずれ 自分も行くその場所で 中田さんや 先代や 西冨のオヤジが 談笑している
その場所に 向かって 自分も 進んでいくのであろう

立ち去ってしまった

立ち去ってしまった

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